役員責任の最新動向

役員責任を取り巻く環境の変化

現在、大学役員は提訴されるリスクに囲まれています。

社会環境の変化に伴い、大学を取り巻くリスクが多様化・複雑化し、学校法人として経営リスクとなり得る各種事故に対する、危機管理体制の構築と適切な保険手配が必要となっています。特に2020年4月1日の私立学校法の改正においては、役員個人の責務と責任が明確化されました。

ポイント1社会風潮(大学を見る眼)の変化

学内や学生の事故、不祥事、言いがかりを含むトラブルの発生時に危機管理対応や保険手配等に不備があると、大学の責任の有無に係らず大学のガバナンスが問われ、ブランドを毀損します。
昨今の厳格化する社会風潮に対応できる危機管理体制の構築と適切な保険手配による備えが必要となります。

ポイント2私立学校法の改正

2020年4月1日の私立学校法の改正において、役員個人の責務と責任が明確化されました。

改正前
(理事)
善管注意義務について規定した条文はない(理事と学校法人は民法上の委任または準委任の関係にあり、善管注意義務を負うと考えられる)。※忠実義務は規定されている。

損害賠償責任について規定した条文はない(理事が善管注意義務を違反した場合、民法上、学校法人に対して債務不履行に基づく損害賠償責任を負い、第三者に損害を与えた場合には、当該第三者に対し、不法行為に基づく損害賠償責任を負うと考えられる)。

(監事)
善管注意義務について規定した条文はない(監事と学校法人は民法上の委任または準委任の関係にあり、善管注意義務を負うと考えられる)。
損害賠償責任について規定した条文はない(監事が善管注意義務を違反した場合、民法上、学校法人に対して債務不履行に基づく損害賠償責任を負い、第三者に損害を与えた場合には、当該第三者に対し、不法行為に基づく損害賠償責任を負うと考えられる)。
改正後
(理事)
「法人と役員…との関係は、委任に関する規定に従う。」と規定し、理事が善管注意義務を負うことを明確化する。

理事が法人に対する任務懈怠によって生じた損害を賠償する責任や、その職務を行うことについて悪意又は重大な過失があったときはこれによって生じた損害を賠償する責任を負うことを規定する(ただし、損害賠償責任の減免の規定を整備)。

(監事)
「法人と役員…との関係は、委任に関する規定に従う。」と規定し、監事が善管注意義務を負うことを明確化する。

監事が法人に対する任務懈怠によって生じた損害を賠償する責任や、その職務を行うことについて悪意又は重大な過失があったときはこれによって生じた損害を賠償する責任を負うことを規定する(ただし、損害賠償責任の減免の規定を整備)。

ポイント3社会環境・市民の意識の変化

昨今の社会の風潮が 「謝罪は当然」の風潮となっており、権利意識・賠償観念・私的正義感が高まっています。
またTwitterなどのSNSの普及で24時間、個人が、全世界に、容易に発信・拡散できる「いつでも、誰でも、どこにでも、かんたんに」1億総発信社会となっています。
このような社会では、大学を取り巻く多様な当事者以外にも当事者ではない者が参画してくるため論調をコントロールすることが難しくマスコミによる炎上加速のケースも珍しくありません。
こういった中では学校法人のガバナンス強化が重要となります。

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